マンションからの素敵なお便り

マンションからの素敵なお便り

 

2017年に実施した
「マンションからの素敵なお便り」にご応募いただいた作品の中から、
最優秀賞1名と優秀賞4名様を選ばせていただきました。
皆様方のマンションライフのヒントとして、ご一読いただければ幸いです。

最優秀賞 匿名希望様

生まれた時からマンションに住んでいる我が子も、早いもので今年、小学校に入学しました。

マンションは近所の付き合いが無く、希薄な人間関係とイメージしていた私達。
小さい頃から、恥ずかしがり屋で挨拶もできなかったが我が子が、幼稚園に通うようになり、顔を覚えてもらうようになり、住んでいる多くの方から声をかけてもらう事で、挨拶ができる様になりました。いってらっしゃい、おかえりなさい、まるで大きな家の大家族みたいで、人との繋がりの大切さ学ぶことができました。
今まで1人で乗ることのなかったエレベーターも、1年生になったら、1人で乗る約束をし、始めは大丈夫かなと心配していましたが、乗り合わせた皆さんが、親切に1声2声かけてくれて、スムーズに1人乗りができる様になりました。大勢の人に見守られている心強さ、マンションに入居して本当によかったと思う毎日です。

最初のイメージとは180度違って、今は皆様に感謝しています。

そして、この先、私達も積極的に声をかけていけたらと思っています。
大きな家の大家族なのだから・・・

優秀賞 匿名希望様

戸数が100戸を超える分譲マンションに住んでおりますが、普段から居住者間の交流はほとんどありませんでした。

ある年の日曜日、前日からの積雪でマンション前が通りづらくなってしまいました。
その日は管理員がお休みのため、上階の方がスコップを持ち出して黙々と雪かきをしていました。普段挨拶のみでほとんど会話したことがない方でしたが、「私も手伝いますよ」と声を掛けて二人で作業を始めました。

10分程すると、雪かきの音が聞こえたのか続々と居住者の人が集まってきて、マンション周りをきれいに除雪することができました。

その日以来、居住者間の会話が増え、一体感が生まれたように思います。

優秀賞 中村幸裕様

私のマンションは管理人さんが住み込みで働いています。
その管理人さんは、勤めて20年を超えています。
とても人気者で仕事も真面目でよく働き、マンションの仕事も助けてくれます。

以前、その管理人さんから身体・年齢的にも引退を考えている話をうけました。
住み込みでの管理の形態や後任や今後のことも考え、総会の際に会議の議題として話し合いをすることにしました。
その管理人さんは総会には出席しなかったのですが、出席者の皆さんから辞めないでほしいとの声や身体がキツイのであれば私が仕事を手伝いますとの声。
また、若い出席者の方からは、小さいときからマンションに住んでいて子供のときのその管理人さんとの思い出を話す方もいらっしゃいました。
このような総会は初めてでした。

その話を管理人さんが聞き、できるところまでやらせてほしいと言って頂けました。
今でもその管理人さんはマンションで元気よく働いてもらっています。
私もその管理人さんのような仕事をしたいと思います。

優秀賞 田村惠子様

毎年7月に入ると「今年もやるよね。」「晴れだといいね。」と話が出ます。

戸田の花火大会のことです。
我がマンションは高層でもないし、至近距離でもないのに、開催場所までの間に遮る建物が無く、6階の階段から、かなりの大きさで花火が見えるのです。

初めはビール片手に何人かで見ていました。
いつの頃か他の人たちにも声をかけ、宴会モードになりました。夕方になると階段にゴザを敷き、テーブルや椅子を準備します。つまみもあれこれ用意して、一杯やりながら花火の上がるのを待ちます。

1発目上がると「おーっ!」。
それからは花火に見入る人、世間話をする人、ひたすら飲食する人、等々。
各々では顔を合わせていますが、一堂に会すのは改まった総会位。だから揃って花火を見るのも楽しいものです。普段会わない人ともおしゃべりができます。

予定していても、体調が悪かったり、野暮用が入ったり不参加の事もあるでしょう。
でも8月第1週の土曜日はずっと花火宴会です。
齢とっても、引っ越しても、戸田の花火大会が無くなっても、集まりたいと思います。

今年も楽しい会になりますように。

優秀賞 ペーママ様

近くのショッピングモールに買い物に出かけた時のことです。

連休明けのせいか空いていて、私はのんびり歩いていました。
前方から女の子が二人、買い物袋を提げて歩いてきて一人が「こんにちわ!」と言ってすれ違って行きました。
突然だったので返事も返せず、誰だったのかも思い出せません。買い物を終えて帰宅途中で思い出しました。
何年か前にマンションから引っ越した娘さんでした。
お母さんが働いていて挨拶もほどほど、忙しいのか、どちらかといえばお付き合いを避けている感じでした。

娘さんが中学に入り制服を着て登校する時、良く見かけるようになりました。
慌てて出かける後ろ姿に「おはよう」「いってらしゃい」「気をつけて」と声をかけましたが振り向くわけでもなく、走っていきます。若い子は恥ずかしいのかなと思い、後ろ姿を見送りました。

何年かして家族は引っ越しました。
大きな荷物が出た後、お母さんが少しづつ小物を車に積んで運んでいきます。
ある晩、紙袋をたくさん持った娘さんに出くわしました。
すると紙袋を床に置き、大きな声で「色々お世話になりました」とにっこり笑って頭を下げてくれました。突然の挨拶にびっくりしているうちに、迎えの車に荷物を積んで走っていきました。

何をしたわけでもないのにあんな笑顔を残してくれて、妙に胸が暖かくなり、頑張ってとつぶやきました。